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tokyo, Japan
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2012年7月18日水曜日

とあるレストランにて

父「遅いな」
娘A「しょうがないよ、混んでるんだもん」
息子B「・・・」

「学校はどうだ?部活ちゃんと行ってるか?」
「うん・・・」
「まだ球拾いか?笑」
「球すら拾えないわ」
「ははは、お前は昔から球技が苦手だもんなぁ」
「冗談だってば」「全然下手だけど、サーブが入るようになってきたの」
「サーブかぁ・・・まぁ部活なんてほどほどでいいんだ」「あぁそういえば、イクエイの夏期講習だけど、5科集中コースで申し込んでおいたからな」
「え?・・・夏期講習はとらないって言ったじゃん」
「どうせ家でゴロゴロしてるんだから、塾でも行って友達と勉強してこい」
「嫌よ、なんで勝手にそんなことするのよ」
「こいつみたいに最初でつまづいて、勉強が嫌になってほしくないんだよ」
「・・・」
「べつに私はつまづいたりしないわよ、来年は夏期講習だってちゃんと受けるから今年は好きにさせてよ」
「もう申し込んじゃったよ」「少しくらいなら休んでも構わないから」
「父さん、少しはAのこと考えてやりなよ」
「俺はちゃんと考えてるよ、考えてるからこういうことをしてしまうんだよ」「A、わかるよな?」
「わかんないわよ」
「じゃあ大人になったらわかるよ」
「・・・」

店員「お待たせしましたー」

「B、お前またバイトやめたらしいじゃないか」
「うん」
「まだ20なんだから、大検でも取って、受験しろ」
「うん、気が向いたら・・・」
「お前は昔からほんとそうだよな、何をやっても長続きしないで」
「好きなものは続けてきたよ、英語だって続いたじゃないか」
「TOEICでいくつだっていうんだ?え?」
「650だけど・・・」
「そんな英語力で将来メシ食ってけると思ってんのか?高校も大学も出てないで」
「ちゃんとこれから勉強していくよ」
「言っとくが、22過ぎたらもう家は出て行ってもらうからな」
「もう少し待ってよ、ちゃんと英語勉強して就職先探すから」
「無理に決まってるだろ、どこのどいつが今の時代に中卒雇うんだよ」
「だからちゃんと英語の資格とかも取って、就職するからもうちょっと好きなことさせてよ」
「好きなこと?なんだ言ってみろ?」
「小説を書いてたい」「将来、小説家になりたい」
「また馬鹿なこと言って、小説だけで食ってけるほど甘くないぞ世間は」
「25までは頑張らせてよ、それで無理だったら就職するから」
「25の中卒なんて誰が雇うんだっていうんだよ」
「バイトだったらいくらでも働き口はあるって」
「あるわけないだろ」
「いや、バイトなら何かしらあるって、仕事内容問わなければ」
「お前ほんとに世間を分かってないよな」「昔からほんと甘ったれだ」
「今だってちゃんとバイトしてるし、お小遣いだってもらってない」「父さんに迷惑かけない範囲でなら好きなことしたっていいじゃないか」
「今じゃなくて俺は将来の話をしてるんだよ」「小説だってどうせ長く続きやしない」「俺は分かってる」
「なんでそうやって否定ばっかりするんだよ」
「お前は昔から何も変わっちゃいない、野球が嫌でいつも逃げ出して」
「それは父さんが僕に嫌いな野球を無理矢理やらせたからじゃないか!」
「違う、お前がやりたいって行ったんだよ」
「僕はやりたいなんて言ってないよ」
「いや、お前が言ったからやらせたんだ」
「仮にそうだったとしても、僕に野球は向いてなかったんだよ!」
「じゃあ何が向いてるんだっていうんだ?」
「だから小説」
「小説?賞でもとったのか?」
「それはこれから」
「これから?どうせすぐ投げ出すに決まってる」
「なんでそうやって俺の未来を決めつけるんだよ!」「父さんには迷惑かけないように頑張ってるじゃないか!」
「お前は甘いんだよ」「とにかく」「誰が見たってそう言うさ」「全然変わってないんだお前は昔から」「偉そうなことばかり言って」
「俺に選択肢はないのかよ!」
「お前が選んだ選択肢からいつも逃げてるだけだろ!」
「・・・ブツブツ」
「あ、お兄ちゃん」
「ほっとけ」「お前もああいう風にはなるなよ」
「・・・」

店員「こちらのお食事はお済みでしょうか?」
「まだ食べてます」

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