そうだ。
ゲームだ。
「~連絡遅くなってごめん、土曜の13時とかどう?~」
ゲームだ。
「~久しぶり、元気?~」
そう、
「Aさんは素直すぎるのよ」
結局、ゲームだ。
「いいよ」
ゲームだ。
「電気消して」
ゲーム。
「なんで、最近連絡してくれないの?」
「なんか、体調崩してた」「そうなの?笑」
「バカにしてるでしょー?」
「うん」
「なんでー?」
「俺が聞きてーわ笑」
「そういうの興味ないのかと思ったー」
ゲームじゃねぇか。
「手つなごっか」
これも。
「私、彼氏できる気がしないわー」
あれも。
「あ、終電しらべなきゃ」
全部。
「Aさんて彼女いないの?」
全部。
「ダメ。それ以上したら、止まらなくなっちゃう」
いっそ、
生けること、
「うん、できれば新宿がいいな!」
それこそすべて。
「はじめまして」
ゲームだ。
パチン!
「はい、カットォ」
「おつかれさまでーす、北川さん、ファイナルでーす」
「はい、おつかれさま笑」
「あぁどうも」
「皆さん記念撮影するんで集まってくださーい」
「これ、全員入んのか?笑」
「雲行き怪しくなってきたんでパッパと済ませますよー」
「北川ぁ、せっかくラストなんだから笑えよ!笑」
「はい、チーズ!」
「北川くん、お疲れ」
「監督、本当にありがとうございました」
「風邪引かないように、すぐシャワー浴びて来なさい」
「はい」
僕は何故「あれ」で監督からOKが出たのかが分からない。
達成感というより、疑問がまず残った。
「これ、本当は監督として失格なのかもしれないんだけど、最後のA氏のシーンに自分の中で答えがなかったの」「君を試したというか、君の演技を見てたら君が創りだしたものを純粋に見てみたくなったの」
「はぁ」
「おそらく、この作品は賛否両論だと思うし、大した興行収入は見込めないよ」「だけど、君は引き受けてくれた」「本当にありがとう」
「いえ、とんでもないです」「こんな大役に抜擢していただいて光栄でした」
「よくA氏を演じきってくれた」
「ご指導ありがとうございました」
「失礼します!」「監督、シーンのセッティング整いました!」
「おう、そうか」
「どうぞ」
「また、後でな」「今日の打ち上げ来るよね?」
「ごめんなさい」
「ちぇ、やっぱ北川くんはそうでなくちゃな、はは」
「じゃ、また」
「ありがとうございます」
バタン/
「ふーーー」
あ、煙草が切れてるや。
パンポン♪
『未読メールが一件あります。』
from:宮本亜衣
『今日、打ち上げ行く?(ビール)』
「だから、」
「行かないっての」
終。
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